近年、メタバース(仮想空間/VR空間)への関心が高まっています。メタバースを理解する上では、仮想通貨やNFTなど、関連するテーマについても知っておく必要があります。 メタバースの意味や、メタバースと仮想通貨やNFTの関連性をわかりやすく解説します。 メタバースは、投資テーマとしてだけでなく、私たちの仕事や私生活を大きく変える可能性を秘めています。メタバースへの理解を深め、投資判断やビジネスに活かしましょう。

メタバースとは?

メタバースとは、インターネット上に存在する3次元の仮想空間(VR空間/バーチャル世界)のことです。「超越した」という意味を持つ「メタ(meta)」と「宇宙」という意味を持つ「ユニバース(universe)」を組み合わせた造語です。 もともと、多くのオンラインゲームには、インターネット上の仮想空間が存在するといえます。また、2007年には、3次元の仮想空間で現実世界と同じように生活を楽しめる「セカンドライフ」というゲームが流行しました。メタバースも、このような従来の仮想空間の延長線上にあるといえます。 しかし、デジタルコンテンツに資産価値を持たせるNFTの登場や、テレワークの普及をはじめとする社会の変化によって、仮想空間がより多くの場面で活用される可能性が出てきました。このような時代の流れを受けて、今改めて仮想空間がメタバースとして注目されているのです。

メタバース活用

ブロックチェーン「Decentraland」では、メタバース内の土地「LAND」を購入し、建物を作ったり他のプレイヤーと交流したりできます。土地を転売して売却益を得たり、土地を貸し出して賃料を得たりすることもできます。また、土地に建物を建設し、自分のアート作品を展示して他のプレイヤーに販売したり、会員制のコミュニティを作ったりすることもできます。 さらにメタバースは、ゲームなどのエンタメ分野に限らず、ファッションやアート、ビジネスなど、あらゆる分野での活用が期待されています。 2021年12月に、KDDIがメタバース内の「バーチャル大坂」で「M-1グランプリ2021」をライブ配信し、話題となりました。参加者もアバターとして、メタバース内の会場に参加できます。また、吉本興業は2021年12月にメタバース事業のプロジェクトチームを立ち上げ、所属タレントのアバター作りを進めています。 今後こういった活動が盛んになれば、ライブ会場やコンサートホールに足を運ばなくても、自宅に居ながらにして臨場感のある演出を楽しめるようになるでしょう。 ファッションブランドや老舗百貨店も、メタバース事業に次々と参入しています。ルイ・ヴィトンは2021年に「Louis: The Game」というNFTゲームをリリースしました。プレイヤーはルイ・ヴィトンの歴史を解き明かす旅を楽しみながら、アバターの着せ替えも楽しめます。 スポーツブランドのナイキは、2022年4月からNFTスニーカーの販売を開始しました。中には約1,700万円という高額で落札された商品もあります。 また、三越伊勢丹はメタバース内に伊勢丹新宿店をバーチャル出店し、話題となりました。バーチャル店舗では、実際にショッピングを楽しめます。また、CG化された販売員とコミュニケーションをとったり、家族や友人と一緒に店舗を回って会話を楽しんだりもできます。 すでに、メタバース内でアバターを通じてファッションやショッピングを楽しむ時代が到来しつつあるのです。 Facebookは、2021年に社名を「Meta」に変更し、メタバース事業に注力することを世界に示しました。Metaが発表した「Horizon Workrooms」では、ヘッドセットをつけることで、会議で空間を共有しているかのような臨場感でバーチャル会議(リモート会議)に参加できます。

メタバースと仮想通過の関連性

仮想通貨は、メタバースの中で、現実のお金のように通貨として使われます。たとえば、キャラクターやアイテムを売却して仮想通貨を稼いだり、仮想通貨を用いて土地やアイテムを購入したりできます。 仮想通貨とは、簡単にいうと、インターネット上で取引できる通貨のことです。 仮想通貨はよく電子マネーと混同されますが、電子マネーは、日本円や米ドルといった法定通貨を電子化し、インターネット上で利用できるようにしたものです。一方、仮想通貨は、国家や中央銀行が管理する法定通貨とはまったく異なる存在です。 最初の仮想通貨であるビットコインは、2009年に誕生しました。値動きが激しいことから、投資対象として注目されてきましたが、決済手段としても利用できます。 現在、さまざまな企業や団体が、メタバースを提供しています。メタバースによって、通貨として利用できる仮想通貨も異なります。

メタバースとNFTの関連性

NFTは「Non-Fungible Token」の略で、日本語で「非代替性トークン」といいます。 NFTでは、多くの仮想通貨で採用されているブロックチェーン技術が活用されています。ブロックチェーン技術によって、デジタルコンテンツを「非代替性=替えのきかないもの=唯一無二のもの」と証明できるようになりました。 ブロックチェーンとは、情報を分散して保存し、ユーザー同士が共同管理するデータベースのようなものです。たとえば、ブロックチェーン技術を使ってデジタルアート作品をNFT化すると、作成者であるアーティストの情報や、その後アート作品を手にした人の情報を、すべて改ざん不可能な形で記録できます。 これまで、インターネットなどを通じた音楽や映像などのデジタルコンテンツは、複製(コピー)が簡単にできることが問題視されてきました。しかし、NFTによって、デジタルアート作品やキャラクター、アイテムなどあらゆるデジタルコンテンツに資産価値を持たせることができるようになったのです。 メタバースでは、キャラクターやアイテム、土地など多くのデジタルコンテンツがNFT化されています。NFT化されているからこそ、キャラクターやアイテム、土地に希少性が生まれ、資産価値が高まります。 また、NFT化されたデジタルコンテンツは、仮想通貨によって売買が可能です。仮想通貨は、取引所で交換すれば、日本円として引き出すこともできます。 仮想通貨やNFTによって、メタバースでお金を稼いだり投資したりといった経済活動が容易にできるようになったのです。

メタバースの将来性を分析

現在、多くのメタバースが存在します。まずはメタバースの将来性を分析しましょう。 注目度の高いメタバースには「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」や「Decentraland(ディセントラランド)」があります。 「The Sandbox」は、オープンワールドをプレイヤーが自由に移動して遊ぶサンドボックスゲームの一種です。ゲームの目的はプレイヤーが自由に設定します。「The Sandbox」では、キャラクターやアイテムを作成したり、オリジナルゲームを開発したり、さまざまな遊び方ができます。 「Decentraland」は、イーサリアムブロックチェーンを活用したメタバースです。プレイヤーはLANDと呼ばれる土地を購入し、建物やアイテムを作ったり、他のプレイヤーと交流したり、自由に遊べます。2021年6月に大手オークションハウス「サザビーズ」がバーチャルギャラリーをオープンするなど、企業からの注目度も高まっています。 「The Sandbox」や「Decentraland」は、カスタマイズ性に優れ、自由度が高いことが特長です。プレイヤーのアイデア次第で、仮想通貨を稼いだり、ビジネスを始めたり、コミュニティを作ったり、さまざまな活用が考えられます。

株式会社ノードコミュニケーション 寺田永史